成功を勝ち取るファイナンシャルプランナー
1982年の金委員会の勧告そのユ「第2次パックスアメリカーナ」の守護神は、「金本位制復帰」が隠された第二義的狙いは、なし崩し的な金本位制への移行である。
すでにフランスには金約款付国債として、ピネー国債やジスカール国債が発行されていた。
さかのぼれば1910年代にアメリカにも元本、利子が金貨で支払われるリバティ・ボンドがあった。
古典的金本位制の時代で金貨本位制が取られていたときのことである。
勧告……金委員会は、財務省がドルの金額表示をせず法貨としての地位を持たない地金型金貨を発行することを勧告する。
同時に、この地金型金貨には取引高税やキャピタル・ゲイン税を課さないという法律を成立させるよう勧告する。
この勧告は、将来、アメリカが金本位制に復帰するとすればどうしても避けて通れない関門への準備を勧告している。
金本位制には「金貨本位制」「金地金本位制」「金為替本位制」などがあるが、「金地金本位制」や「金為替本位制」はいずれも「金」を節約するために考案された仕組みである。
イギリスは1925年に金本位制に復帰したが、第1次世界大戦の前の「金貨本位制」を金不足のため採用できず、「金地金本位制」で復帰せざるをえなかった。
金交換を受け付ける基準を400オンス(約 キロ)以上としたので、庶民には縁のない金本位制であった。
この戦間期の再建金本位制のときにもアメリカだけは早々1918年には戦前の「金貨本位制」に復帰して、金貨の発行を続けていた。
アメリカの「金委員会」への金本位制復帰議論の推進母体は、金信奉者たちの草の根の運動である。
彼らは金貨の流通しない金本位制など金本位制と認めないであろう。
1982年の金委員会の勧告その星この勧告で注目すべきは、後段の「法的に取引高税やキャピタル・ゲイン税の免除」を勧告していることである。
これらの税の課税を免除することは、「金」を商品ではなく、通貨として認識していることだ。
つまりこの勧告はすでに金本位制復帰への第一歩を踏み出しているのである。
前段では地金型金貨には法貨としての地位を与えずに発行せよ、としながら、後段では法貨としての地位に道を開いている。
段階的に法貨性を付与しようとしているのである。
これは金委員会の内外にケインジアンやマネタリストの「反金本位制復帰論者」の厚い壁があるための便宜的手法であった。
ところが、勧告された地金型金貨である「イーグル金貨」が1986年に発行されたときには、「法貨としての金貨」として「通貨性を認知」されて誕生したのである。
地金型金貨として人気のあるカナダのメープル金貨と比べて、大きな違いがある。
ともに1オンス(31.1035グラム)の正味の金を含有している。
ところが純度が異なっているのである。
メープル金貨は純金で、イーグル金貨は合金なのだ。
純金だと磨耗しやすいので、将来の流通を考えて、イーグル金貨は純度を少し落とし強度を高めているのである。
つぎに重要な勧告は、アメリカの公的保有金の評価に関するものだ。
委員会は、財務省と連邦準備制度がアメリカの公的保有金を現実的な価格で評価する方法および日程を検討するよう勧告する。
ただし評価換えにさいして、財務省がその評価益を貨幣として使用したり歳出をまかなうために使用しないように、法的禁止措置を同時にとるべきことを勧告する。
金の再評価益は、価格変動準備金のような勘定で管理され、将来、金本位性復帰がされた場合には、金準備率維持のための介入資金の基金となる可能性が高い。
この勧告も視点を変えると、「金本位制復帰」への一里塚と言えるのである。
もちろん金委員会では「公的保有金の再評価」と「金本位制復帰」を切り離して考える方針をとっている。
しかし、1976年のIMFのキングストン合意以後も、かたくななまでにかつての金の公定価格42.22ドルに手をつけていないアメリカが、この勧告に従って動き出したら、世界に与えるインパクトは計り知れない。
もし、金が再評価されればその時点で、「ドルへの信認」は急速に高まるであろう。
変動相場制であれば市場の心理はドル高に振れるであろう。
居住者と非居住者を差別する「武器としての金本位制復帰」これまで1981年1月に大統領に就任したR大統領が任命した「金委員会」の動きをいろいろと検討してきたが、この動きをインフレと高金利に苦しむアメリカの国内金融政策という土俵を離れて、ポリティカルエコノミーの立場に立つと違った景色が見えてくる。
特に示唆的なのは、共和党保守派のHルムズ上院議員の考え方である。
居住者と非居住者を区別して取り扱おうとしている点である。
アメリカ国民には「最上のドル」を持たせるが、非居住者には交換を認めないのであれば、形式的に免換紙幣であっても非居住者には実質的に不免換紙幣と違いは無くなってしまう。
なぜ、Hルムズ議員は内外差別を志向するのだろうか。
簡単に言えば、「アメリカの富は、アメリカ人へ」ということであろう。
Hルムズ議員の「金本位制復帰」には、対外的な「武器としての金」の発想があるに違いない。
アメリカはかつて「金」を外交的武器として利用したことがある。
1979年から翌年にかけイラン・イラク戦争を契機として第2次石油ショックがあり世界経済は混乱した。
金価格は1980年1月に850ドルをつけたが、その後急速に値を消した。
石油消費国からかき集めたドルを、オイルマネーに変身させアラブ産油国は「金」を買い漁った。
米系メジャーを始めとしたアメリカ勢は「金」の空売りで立ち向かった。
彼らが使った金急落への仕掛けは、Hント兄弟の「銀投機」つぶしであった。
金と銀は相互に影瀞を与えながら並行して急騰していた。
Hント兄弟の独り勝ちに売り向かった連中と取引所の理事たちと監督当局が決済や金融の規則などを拡大解釈、縮小解釈したりして強引にHント兄弟を破産に追い込んだ事件であった。
当局の意向がかなり働いていたことは後に検証されている。
まず銀を急落させ、連動する金急落の導火線にしたのである。
これによりアメリカは、中東危機で石油収入の増加をはかるアラブ産油国に、市場という土俵を使って、アラブ産油国が溜めたドルの再回収を図ったのである。
アラブ産油国は石油価格上昇でえた儲けの多くを金価格の値下がりで失った。
ミサイルの代わりに武器として「金」が使われたのである。
金委員全の戦略的意義は、何か「金」を商品とか通貨という限定した見方ではなく、もっと大きく「金」が本質的に持っている「戦略的武器性」に目を向けると、国際政治の力学が見えてくるので私は「金委員会」とは、N大統領が投げたボールを受け取ったR大統領が、次にどこへ投げようかとミットのなかで転がしながら、ボールの縫い目を指でまさぐっている、とそんなふうにとらえている。
R大統領は、ここで結論を出す必要は全く無かったのだ。
R大統領における「金委員会」は、金本位制復帰への「ゴーサイン」を出す場ではもともと無かったのである。
なぜなら、あの1980年代初頭でなにがなんでも金本位制を行いたかったなら、W名の金委員会の委員を任命するときに最初から過半数の金本位制復帰論者を指名しておけば、なんなくできたはずである。
ということは、別のシナリオがあったと見るべきである。
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